腹筋をしていたら、何も触っていないのにイッた。冗談や作り話のようだが、実際に研究されている現象である。
一般には「コアガズム」と呼ばれ、研究では主に**運動誘発性オーガズム(Exercise-Induced Orgasm:EIO)**と表記される。性的な行為をしていないときでも、運動や強い身体活動をきっかけに、性的な高まりやオーガズムが起こる現象だ。
運動をしながら身体を鍛え、そのまま絶頂まで迎えられる。
経験のない側からすれば、正直かなり羨ましい気もする。だが調べていくと、好きなときに何度でもイケる便利な能力とは限らないことも分かってくる。
コアガズムとは?運動によって起こるオーガズム
コアガズムは、セックスや自慰をしていない状況で、運動をきっかけに生じるオーガズムを指す俗称だ。研究上は、絶頂まで達した場合を運動誘発性オーガズム、絶頂には至らないものの性的な快感や高まりを感じた場合を運動誘発性性的快感として分けることがある。
特徴的なのは、必ずしも性的な妄想や直接的な性器への刺激を必要としないことだ。本人は純粋に筋力トレーニングやスポーツをしているだけなのに、下腹部や性器周辺に快感が集まり、身体が勝手に絶頂へ向かっていく。
2025年に発表された女性21人への聞き取り調査でも、コアガズムは激しく反復する運動や、体幹へ負荷をかける運動中に起こることが多く、通常は性的な場面から離れ、直接的な性器刺激なしで発生すると説明されている。参照元
つまり、頭でエロいことを考えた結果というより、身体の動きから先にオーガズムが始まることがある。
走っても泳いでも起こり得る
「コアガズム」という名前から、腹筋運動だけで起こると思われやすい。
確かに、シットアップ、クランチ、レッグレイズなど、腹部へ強く負荷をかける運動は代表的なきっかけだ。ロープ登り、懸垂、重量挙げなども、腕や脚だけでなく体幹を強く使う。
しかし、報告されている運動はそれだけではない。米国の全国調査では、初めて運動中にオーガズムを経験した場面として、腹筋運動のほか、ウエイトトレーニング、ランニング、自転車、ロープ登り、水泳、ヨガ、体操、乗馬、レスリングなど複数の運動が確認されている。
そのため、腹筋が代表的ではあるがコアガズムは激しい運動、反復運動、体幹を強く使う動作などによって誘発されるオーガズムと捉えるのがいいかもしれない。
アメリカでは約11人に1人が経験
どれほど珍しい現象なのか。
2021年に発表された研究では、2014年に行われた米国の全国的な確率調査から、14歳以上の男性1,012人、女性1,083人、合計2,095人の回答が分析された。その結果、約9%が生涯に一度以上、運動中にオーガズムを経験したと回答している。単純に換算すれば、アメリカでは約11人に1人だ。
男女別では、男性の約7.6%、女性の約9.5%が経験を報告しており、統計的に有意な男女差は確認されなかった。コアガズムは女性だけの現象ではなく、男性にも起こる。
ただし、この数字は正しく扱う必要がある。これはアメリカで行われた調査であり、日本人の約11人に1人が経験するという意味ではない。また、「人生で一度でも経験した人」の割合であり、自由自在に起こせる人や、運動するたびに絶頂する人の割合でもない。
同じ調査で、経験回数が1〜2回だった人は全体の4.3%。11回以上経験した人は1.0%だった。繰り返し経験する人は、単に一度経験した人よりかなり少ない。自分の意思で再現し、「特技」と呼べるほど扱える人が何人に一人なのかは、現在の研究からは分かっていない。

男性のコアガズムは射精するのか
男性にも運動誘発性オーガズムは起こるが、オーガズムと射精は密接に結びついているものの、医学的には完全に同じ現象ではない。そのため、男性のコアガズムが毎回必ず射精を伴うとは限らない。
米国調査では、男性が最初にコアガズムを経験した平均年齢は16.8歳、女性は22.8歳だった。男性からは腹筋、重量挙げ、ロープ登り、ランニング、自転車、懸垂、腕立て伏せなど、幅広いきっかけが報告されている。軍隊の訓練や体力試験、重い荷物を運ぶ肉体労働中に起きたという男性の報告もある。
少なくとも女性の身体だけに備わった特殊な反応ではなく、腹筋や骨盤周辺に強い力が入る身体活動は、男性のオーガズムにもつながり得る。
なぜ起こるのかはまだ不明
では、体幹を鍛えると、なぜ性器へ触れていないのにイクのか。ここが最も知りたいところだが、正確な仕組みはまだ解明されていない。
腹筋やインナーマッスルの強い収縮。骨盤底筋への負荷。 筋肉の緊張と解放。 反復運動による神経刺激。 血流の変化。 自転車や乗馬で生じる圧迫や摩擦。
さまざまな説明が考えられてきたが、どれが直接的な原因なのかは確定していない。2021年の研究も、生理学的な仕組みを調査した研究ではないため、骨盤底筋、筋緊張、ホルモン、神経刺激などを原因として断定しないよう注意を促している。
体幹を強く使う運動との関連は繰り返し確認されているが、「インナーマッスルを鍛えれば誰でもイケる」ことが証明されたわけではない。身体のどこが、どのような順序で絶頂へつながっているのか。コアガズムは実在するが、身体の内部で起きていることは、まだ完全には説明できていないのが現状だ。
不謹慎なのかもしれないが、
そこがまた妙にエロい。
起こし方はあるのか
腹筋をすれば、誰でもコアガズムを経験できるわけではない。
経験者の報告では、軽い運動を数回しただけではなく、腹筋を何十回、場合によっては数百回繰り返したあとや、補助なしの懸垂を続け、体幹が強く疲労した段階で起きる例がある。自分にとって反応が起こりやすい回数や強度を把握している人もいた。一度経験したあと、同じ動きを試して再現できるようになった女性もいる。反対に、性的な高まりまでは感じても、絶頂まではほとんど到達しない人もいる。
つまり、特定の運動を真似すれば必ず成功する「コアガズム体操」は存在しない。
無理に限界まで腹筋や懸垂を続ければ、先に筋肉や関節を痛める可能性もある。オーガズムを目的にする場合でも、通常の運動と同じく、自分の体力を超えない範囲で試す必要がある。
身体の反応は、努力だけで平等にはならない。何百回腹筋をしても腹が痛くなるだけの人もいれば、途中で突然、別の扉が開く人もいる。羨ましい話である。
気持ちいいだけじゃない?困る人もいる
コアガズムを経験できない側からすると、運動と絶頂を同時に味わえる夢のような能力に見える。実際、経験を楽しみ、同じ運動を繰り返して快感を再現したり、自慰やパートナーとの性行為へ取り入れたりする人もいる。
一方で、本人の意思とは関係なく起こることもある。
過去の女性を対象とした調査では、コアガズムを制御できると感じていた人は3分の1未満だった。約8割は、表情や声から周囲に気づかれることを心配した経験があった。なお、この調査はコアガズム経験者を募った便宜的な調査であり、一般人口の割合を示すものではない。
体育の授業中。 人の多いジム。 トレーナーに見られている最中。 ロープや鉄棒へ必死につかまっているとき。
そんな場所で身体が勝手に絶頂へ向かえば、純粋に楽しめるとは限らない。
運動に集中できなくなる。 声や表情を抑えようとする。 途中で種目をやめる。 誰にも話せず、自分の身体がおかしいのではないかと悩む。
コアガズムは病気と決めつけるべき現象ではないが、全員にとって都合のいい特殊能力でもないらしい。
「特技はコアガズム」とする釈アリス
この現象を、公式プロフィールの特技として掲げているAV女優がいる。
釈アリスだ。
所属事務所NAXの公式プロフィールでは、趣味に「推し活、美術館巡り」、特技に「コアガズム、アイス早食い」と記載されている。
美術館巡り。 アイスの早食い。 そして、運動でイク身体。
整った長身美女のプロフィールに、説明もなくこの言葉が置かれている。ただし、どの運動で起こるのか、どこまで本人の意思で再現できるのかは、確認できる公式情報では明かされていない。「特技」とあるからといって、自由自在に何度でも絶頂できるとまでは断定できない。詳しく聞いてみたいものだ///。
それでも、米国の調査では生涯に11回以上経験した人が全体の約1%にとどまり、自由に制御できる人の割合も分かっていない。その現象を特技として名乗る一言の破壊力は、仕組みを知ったあとほど大きくなる。
品のある顔。 169cmの長身。 美術館を巡る女性。 そして、身体を動かせば自分の内側から絶頂へ近づけるかもしれない肉体。釈アリスの魅力は、外見から想像しやすい優等生像だけでは収まらない。その掴みきれなさについては、**「釈アリスという背徳|優等生の顔をした危険な新人」**で詳しく紹介している。

コアガズムは、エロい妄想が身体を動かす現象ではない。身体が先に快楽へ入り、あとから人間が「これはオーガズムだったのか」と気づくことさえある。セックスをしていなくても、触っていなくても、身体はイク。人間の欲望と絶頂は、私たちが思っているより、ずっと多くの入口を持っている。



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